集中講義:フェッシュバッハ共鳴近傍における量子多体系と少数系の物理

(2014年2月5-6日 京都大学・基礎物理学研究所)

近年の冷却原子を用いた実験技術の発展により、原子間の相互作用を自由に変化させることが可能になった。特に散乱長の発散するフェッシュバッハ共鳴近傍では、低エネルギーの物理は系の微視的な詳細に依らずに普遍的となる。そこでは、量子多体系であればBCS-BECクロスオーバーやユニタリーフェルミ気体、量子少数系であればエフィモフ効果といった多彩な現象が現れる。これらの系は強相関系であることから理論的な取り扱いは一般的に難しいものの、シンプルな系であるためにこれまで物理学において培われてきた様々な理論的手法を適用する格好の舞台となる。本講義では、こうした現象とその解析に有効な手法などを、以下の予定で紹介する。

1.BCS-BECクロスオーバーとユニタリーフェルミ気体ノート:散乱長、ゼロレンジ極限とその記述、平均場近似によるBCS-BECクロスオーバー)
2.イプシロン展開を用いた方法ノート:4次元と2次元の特殊性、4次元周りでの展開、2次元周りでの展開、ξの見積もり)
3.非相対論的共形場理論としての側面ノート:スケール不変性、シュレディンガー代数、演算子・状態対応、2体問題への応用)
4.エフィモフ効果と普遍性スライド:普遍性、エフィモフ効果、マグノン系への応用、スーパエフィモフ効果)
5.3体問題の解法とマグノン系への応用ノート:3体問題の解法とエフィモフ効果、マグノン系への応用、マグノン間の散乱長)
6.繰り込み群を用いた方法とスーパーエフィモフ効果ノート:低エネルギー有効理論、2体セクターの繰り込み、3体セクターの繰り込みとスーパーエフィモフ効果)

参考文献
"Unitary Fermi gas, epsilon expansion, and nonrelativistic conformal field theories" [arXiv:1004.3597]
"Efimov effect in quantum magnets" [arXiv:1208.6214]
"Super Efimov effect of resonantly interacting fermions in two dimensions" [arXiv:1301.4473]
イプシロン展開エフィモフ効果の日本語による簡単な解説