集中講義:フェッシュバッハ共鳴近傍における量子多体系と少数系の物理

(2015年11月9-11日 神戸大学)

近年の冷却原子を用いた実験技術の発展により、原子間の相互作用を自由に変化させることが可能になった。特に散乱長の発散するフェッシュバッハ共鳴近傍では、低エネルギーの物理は系の微視的な詳細に依らずに普遍的となる。そこでは、量子多体系であればBCS-BECクロスオーバーやユニタリーフェルミ気体、量子少数系であればエフィモフ効果といった多彩な現象が現れる。これらの系は強相関系であることから理論的な取り扱いは一般的に難しいものの、シンプルな系であるためにこれまで物理学において培われてきた様々な理論的手法を適用する格好の舞台となる。本講義では、こうした現象とその解析に有効な手法などを、以下の予定で紹介する。

1.冷却原子、散乱長、ゼロレンジ極限とその記述ノート
2.平均場近似によるBCS-BECクロスオーバーノート
3.ユニタリーフェルミ気体とイプシロン展開ノート
4.スケール不変性とシュレディンガー代数ノート
5.演算子・状態対応ノート
6.エフィモフ効果と普遍性、マグノン系への応用スライドノート
7.繰り込み群を用いた方法とスーパーエフィモフ効果ノート

参考文献
"Unitary Fermi gas, epsilon expansion, and nonrelativistic conformal field theories" [arXiv:1004.3597]
"Efimov effect in quantum magnets" [arXiv:1208.6214]
"Super Efimov effect of resonantly interacting fermions in two dimensions" [arXiv:1301.4473]
イプシロン展開エフィモフ効果の日本語による簡単な解説